既存のパラダイムから一歩踏み出し、さらに大きなゲームをプレーする

ヴァントグループCEO

スティーブ・ザフロン

 

 

 

 

 

 

 

「パラダイムは諸刃の剣だ。一方に振れば、そのパラダイムに合う情報を微に入り細に入り切り出してくれるが、逆方向に振ると、そのパラダイムに反する情報から私たちを切り放してしまう。」*

*訳注 ジョエル・バーカー (米ミネソタ科学博物館の未来学研究部長、経営コンサルタント。
          著書『パラダイムの魔力』(2014年)からの引用。)

言い換えると、私たちが行動するもとになるパラダイムは、私たちが取り組んでいることについて、特定の側面を隠し、別の側面を拡大する。この知覚の歪みにより、あることは可能に見え、あることは不可能に見え、他のことは全く見えなくなる。

 

私たちは既存のパラダイム内で、物事を変えられもするし、非常に効果的にもなれる。だがそこで手に入るのは、既に持っているものが徐々に増える、ということでしかない。そしてそれは、自分という人が、あるいは自分がその中で活動している環境が、何か別のものを希求するとき、または、自分がコミットしている事柄がより広い視野や大きなゲームを要求するときに、問題となる。

 

既存のパラダイムから外に踏み出すとき、馴染みのある前提や結論や決断などを、改めて問い直すことが必要になる。新しい答えを得るためではなく、人間であることにおいて、何が可能なのかを明らかにするために。

 

生きるということに対しての、私たちの旧来からの見方と、全く新しい地平との間にある矛盾を抱えながら生きていくことは、非常に高い次元の勇気を必要とする(特に、今現在行われていることが大部分「行われなくなる」場合には。)

 

人間には、たったひとつの物事の見方、あるいはひとつのやり方のみが遺伝的に組み込まれているわけではない。肝心なのは、より良いパラダイムを見つけることではなく、様々なパラダイムの間を自由に行き来できことだ。

 

自分の知識や経験を捨て去るという話ではない。自身の盲点を取り除き、自分と自分が取り組んでいることとの間に、挟まっているものが何もない状態を作るということだ。私たちには選択があるーーそれが、トランスフォメーションの中核にある考えだ。