聞こえてくることに自らを変化させる

人は無意識のうちに常に内面の声を聞いています。代わりに相手の言っていることに耳を傾けたら、何が可能でしょう?

聞こえてくることに自らを変化させる

ランドマークワールドワイド
ブレークスルーテクノロジーコースリーダー
ギタンジェリ・コピカール

内面のおしゃべりは、私たちを安心させるように、または、苛立たせるように常に側近くに控え、長居する訪問客の熱心さで、あやふやながらも怠りなく話し相手を務めようと待ち構えている。* 私たちはどうしても、この友好的または非友好的な判断や評価、意見、疑問を相手に会話を始めてしまう。それらは「いつも既に」うごめいているのだ。例えば、「知ってるよ」「私の方がよく知っている」「それは真実か?」「嘘か?」「相手の意見が好き・嫌い・賛成・反対」「正しいか?間違っているか?」「自分をかっこよく見せることか・見せないことか?」などなど。

このような稼働中の「聞き方」との会話を始めてしまうと、そこから、制約的な働きと形成的な働きという両面の結果が生まれる。制約的な働きは、誰かが言ったことが自分の意見と合わないとき、私たちは大抵、何らかの仕方でその人の発言を退け、他者の視点が提供する「現実の可能性」を捉え損なう。つまり、私たちの知覚が制約されるのだ。形成的な働きは、自らが会話に持ち込んでいる事柄が、自分への人や物事の現れ方を決定する、ということだ。仮に私たちが「誰それは自分を理解していない」とか「自分を好いてくれない」「尊敬してくれない」と思っていたとする。すると私たちは、「私を理解してくれない・好いてくれない・尊敬してくれない」という事態の発生を待ち構える、という状態になる。

相手の発言と自分との間に何も挟まっていなかったら、物事は、自分の評価判断という迷宮を通り抜けてくる必要はない。何も挟まっていない状態で耳を傾けるとき、相手の示すところがそのまま耳に入ってくるとき、私たちは、聞こえてくる事柄に自身を変化させるというリスクを撰択している。よりしなやかに変化する世界が入手可能になる。そこに可能性という領土が出現する。この領土が引き寄せること、つまり私たちが引き起こしうる事柄は、今後の物事の進路を新たに形成する力を持っている。

*デニス・ライリー「内なる声」(ハーパーズ・マガジン 2005年)からの引用

(訳注)デニス・ライリー 英国の詩人、哲学者。

 
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