記事 パワーと自由が出現するとき

過去に基づいた「会話」を区別し、パワーと自由をもって可能性を創りだす。                                                        

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私たちがブレークスルーを生み出すとき、あらゆる状況的な制約から一歩踏み出すとき、そして、いまは道筋が見えなくとも何かの成就に立場をとるとき、これから作り出そうとすることのために参照するのは、過去の自分や、これまでに成し遂げたことや、予測できること、期待できることではありません。参照先は「何が可能か」です。

このとき、おなじみの会話とは決別することが必要です。例えば「状況がこんなふうなのは、〜だからだ」や、その相棒の「私は無力だ。なぜなら〜」という会話です。

障害、制約、ブレークダウンなどは人間が考え出したもので、ただ私たちが言っているだけ、でっち上げているだけだと捉えることができたら、より大きな空き地、すなわち、パワーと自由が出現する余地が生まれます。

パワーがあって、成功していて、自由なほうが、無力でいるより遥かに危険です。あたかも、人間を「無力」に固定する、組み込み済みの自動スイッチが入ったかのようです。「うまく行かなかったらどうしよう」「うまく行きすぎたらどうしよう」…

チェコスロバキアの大統領ヴァーツラフ・ハヴェル氏(訳注1)が就任後数ヶ月を経たときの言葉を引用しましょう。ハヴェル大統領はビロード革命後の幸福感が薄れ始めたとき「奇妙な麻痺感」を感じたそうです。曰く、「この感覚を突き詰めると、その奥底にあったのは不条理の感覚だった。シジフォス(訳注2)も、ある晴れた日に岩が止まってしまったら、岩が山頂に乗ったまま転がり落ちてこなくなったら、同じように感じただろう。自らの努力が報いられる日がくることに対して心の準備がなかったシジフォスの感覚だ。実際に成功してしまうと、今までの人生の目的が失われてしまった」*。

私たち人間は、可能性を創作するときにこそ、人間に何が可能かを知ることになるのです。

*参考 ザ・ニューヨーカー誌 デイビット・レムニック著 “Exit Havel”

※1訳注 ハヴェル大統領。故人。共産党政権下のチェコスロバキアで反体制運動の指導者として活動し、幾度となく逮捕・投獄される。当時の共産党政権打破(ビロード革命)の中心となり、ビロード革命後の1989年にチェコスロバキア連邦最後の大統領に選出された。連邦解体後は1993年に新たに成立したチェコの初代大統領に就任。チェコの自由と良心を体現した姿勢で国民の敬愛を集めた。
※2 訳注 シジフォス ギリシア神話に登場するコリント王。神々を欺いた罰として死後、冥府で巨石を山頂まで押し上げるという罰を与えられた。巨石は山頂に達しかけると再び麓まで転がり落ちるため、シジフォスは永遠にこの行為を繰り返さねばならなかった。

 

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