アンバー・カバ ホスピタリティ産業で働く人々の、心の健康を支える

<お読みいただく前に> この記事は、自殺を含むメンタルヘルスに関連する問題を取り上げています。もし、あなたが今、危険な考えや自殺念慮を持っている場合は、「自殺防止のためのライフライン」または各国の自殺予防のための電話相談窓口にご相談下さい。

オーストラリアのホスピタリティ産業における薬物やアルコールの依存症は、広く知られた問題である。オーストラリア労働者の薬物使用に関する調査から「数種の薬物を使用する労働者(つまり、複数の種類の薬物を同時に、または別々の機会に使用する労働者)の割合がもっとも多いのは、ホスピタリティ産業に従事している人々である」ことが明らかになった。また近年は特に、著名なシェフの自殺が相次いだことから、心身の健康の問題にも注意が向けられている。










オーストラリア人シェフ、アンバー・カバ。
ランドマーク卒業生で、「ホワイト・ジャケット・エフェクト」の創設者。

ランドマークの卒業生は、大きなことに取り組む傾向がある。オーストラリア人シェフである卒業生、アンバー・カバも間違いなくその一人だ。ランドマークのアドバンスコースに参加して以来、アンバーの頭の中を巡っていたのは、なんとかしてオーストラリアの今の飲酒文化を変える、という可能性だ。その考えと、その頃の彼女の様々な体験に、「ランドマーク・自己表現とリーダーシッププログラム」(SELP)への参加が交差して、「ホワイト・ジャケット・エフェクト」が生まれた。アンバーは「かなり思い切った試みでした」と笑いながら振り返る。

ホスピタリティ産業で15年以上働いてきたアンバーは、この業界の働き方における「有害な」文化をよく知っている。「『ここは何かおかしい』という空気が常に漂っていました」  ホスピタリティ産業で働く人たちの間に蔓延する飲酒問題について、アンバーはこう言う。「この業界での働き方に深く染み込んでいる問題なので、解決するのは容易ではありません。それでも、進んでこの問題に取り組もうとしている人たちがいるのです」

変化を起こす











シェフのアンバー・カバ(写真中央)、オーストラリア人シェフの
ピーター・ギルモア(左)とネイル・ペリー(右)と共に。 

「今振り返ってみると、頭が下がる思いです」とアンバーは言う。アンバーの意識は常に、プロジェクトのゴールに向かって邁進し自分のしたいようにする、ということに向けられていた。しかし「周りの人々やコミュニティに与える影響には気づいていませんでした」と話す。

アンバーが「ホワイト・ジャケット・エフェクト」の影響について、意識を変えるきっかけとなった忘れられない出来事がある。キャンベラでの講演後しばらくして、アンバーは聴衆の一人からメールを受け取った。送ったのは接客業で働く人だった。その人は、講演会の後に勇気が湧いてきて、職場で「私は今、大丈夫じゃない」と言い、助けを求めることができたそうだ。その会話を発端に、職場の一人が短期休暇を手配し、みんなでビーチに出かけて充電してきたと言う。アンバーはメールの送り主がどれほど喜んでいるかを語ってくれた。「短い休暇でしたが、みんなですっかりリフレッシュして戻ってきました!」 アンバーは、一人の人が「私は大丈夫じゃない」と言った、そのたった一つの出来事からキッチン全体が元気を取り戻すことができるのだ、と悟った。「結局、コミュニケーションなんですね」と、アンバーは締めくくった。

プログラムから得たスキル









シェフのアンバー・カバ(右)と、ランドマーク・自己表現と
リーダーシッププログラムのリーダー、リンダ・コナー。

「今も話は得意じゃありませんが、(以前は)特に自分の気持ちや本当に大切に思っていることを話すのが苦手でした」 ランドマークの自己表現とリーダーシッププログラムで経験を積み、「ホワイト・ジャケット・エフェクト」を発展させていく中で、アンバーは自分を分かち合い、弱みを隠さないでいることのパワーを実感するようになった。「分かち合うための筋力を鍛えましたよ」と声を弾ませて言う。「まだ鍛える必要がありますが、分かち合うことの効果がどれほど素晴らしいかが分かってきました」

このプロジェクトを進めてきた経験から、アンバーは組織と構造の重要性も学んだ。「どこから攻めて行くか、計画を立てました。よくやりますよね。でも、こんな結果を作れるとは思ってもみませんでした!」 この経験で一番の学びは何ですかという質問に対して、アンバーは「『あなたが何もしなかったら、何も起きないんだ』ということが本当に明確になりました」と答えた。

あらゆる方面からの支援










左から、アレックス・ピリス、カート・ネイマン、
アンバー・カバ、イシュ・カバ。

アンバーは自分が受けたありとあらゆるサポートについて語った。ホスピタリティ産業のコミュニティや、ランドマークの自己表現とリーダーシッププログラムのリーダーや、そしてランドマークの友人全般からのサポートもあった。中でもアンバーは、夫の素晴らしいサポートがあったことを強調する。二人でランドマークの自己表現とリーダーシッププログラムに参加し、その後、二人ともこのプログラムのコーチを務めた。アンバーは言う。「私は夫から、絶対的な揺るぎないサポートをもらいました。たくさんのブレークダウンがありましたが、その度にこのプロジェクトを始めた原点、可能性に立ち返らせてくれたのは夫でした」

アンバーは、かつての恩師の妻からも応援を受けた。その恩師は自ら死を選択することによって、ホスピタリティ産業におけるキャリアも人生も終わらせてしまったのだ。「恩師の奥さまから、感謝しきれないくらいのサポートをいただきました。恩師が直面していたことを考えることによって、私たちの人生をより充実したものに変えることができました」

妊娠について。そしてさらに前進!








シドニーのキー・レストランで開催された、「ホワイト・ジャケット・エフェクト」の
初の公開イベントにて。シェフのアンバー・カバ(最前列、左から3番目)と
イベントの参加者たち。

将来について質問されると、アンバーは、もうすぐ妊活が終わるのだと明かしてくれた。アンバーはそのことを念頭に置きながら、夫と共に自分たちの大切なプロジェクトを前進させてきた。「最近、大きなイベントを4つ続けて行ないました」とアンバーは、ここ数週間のうちにオーストラリアの4つの州でやり遂げたイベントを振り返る。「私は、ランドマークの自己表現とリーダーシッププログラムの参加者にとって、とてもいい見本だったと思います」 アンバーは、このプロジェクトと、つい最近開催した「ホワイト・ジャケット・エフェクト」の公開イベントに取り組みながら、さらに以下のことをやり遂げたのだ。

・   新しい住まいへの引越し

・   栄養学の学位の取得

・   直近のランドマークの自己表現とリーダーシッププログラム参加者3人へのコーチ

・   そしてもちろん、前述の、新たな家族を迎える用意の仕上げ

アンバーは、「誰かが、時間がないと言ったら」、ランドマークの自己表現とリーダーシッププログラムに倣って、「『あなたは時間を作れますよ!』と言ってあげるわ」と言う。

「ホワイト・ジャケット・エフェクト」について、さらに詳しく知りたい方

「ホワイト・ジャケット・エフェクト」はアンバー・カバが創立したオーストラリアの組織で、意識を高めて「ホスピタリティ産業におけるメンタルヘルスへの意識を引き上げる」ことを意図している。そのビジョンは、価値ある情報を提供し、ホスピタリティ産業のメンタルヘルスについて対話を始め、誰にも言わず独りで苦しむという状況に終止符を打つことだ。

「ホワイト・ジャケット・エフェクト」の公式ウェブサイトとフェイスブックにもっと詳しい情報があります。

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