デビー・フイン「女性支援のために食事会を開いてコミュニティを築く」

2019年10月15日
ランドマークカスタマーサービス

「人為起源の温室効果ガス排出から、天然資源の過剰な開発に至るまで、持続可能ではない生産と消費のパターンが、全人類をリスクにさらしています。その中で女性は、新しい農業技術の早期導入者としても、危機における最初の対応者としても、グリーンエネルギーの起業家や家庭における意思決定者としても、持続可能な未来に向けた解決策に等しく参加するべき変化の担い手です。」

——国連女性機関

 

 

 

 

 

 

 

自己表現とリーダーシッププログラム(SELP)のコーチチーム
(デビー・フインは後列左から5人目)

ランドマークのコースに参加して26年になるデビー・フインは、ここ3年、大望を抱いて、カリフォルニア州サンノゼ市で開催されている自己表現とリーダーシッププログラム(SELP)のクラスルームをリードしている。「クラスルームをリードしながら、本当に多くのプロジェクトに関わらせてもらいました」

SELPのクラスルームのリードを始めて間もない頃、デビーは女性のエンパワメントのためのプロジェクトを職場で立ち上げ、その一環として月例昼食会を開催していた。そこに登壇した、国際NPO 「ダイニング・フォー・ウーマン」(女性支援のための食事会)からのゲストスピーカーが、世界中の女性の生活を向上させるというミッションについて語った。デビーはその話に深く共感した。「私はドローダウンという活動に基づく気候活動家でもあります。ドローダウンによれば、気候変動を逆転させる最良の方法を分類していくと、女性と女児をエンパワーすることによって、女性たちが自らの未来を作り出していけるようになることが一番の解決策なのだそうです」

 

 

 

 

 

 

デビー・フインと夫のタン

デビーが言及したドローダウンとは、気候変動に対する最も実行可能な解決策を特定して、それらを検討・分析し、その結果を世界に共有する世界的な研究機関「プロジェクト・ドローダウン」のことだ。その調査によれば、女性の教育によって、514.8億トンの二酸化炭素排出を削減が可能であること、また、女性が家族計画*のための教育リソースを利用できるようになれば、さらに596億トンの二酸化炭素排出を削減できるという結論が出ている。デビーは、NPOダイニング・フォー・ウーマンが世界中の女性の生活に大きな違いを作っていることを知り、自分もそれに取り組みたいと思った。

* (訳注) 【家族計画 family planning】
単に産児制限といった意味だけではなく、母子保健、母性保護の立場から積極的に奨励されている。家族計画推進には、母子の健康確保と福祉の向上が基本条件であり、出産年齢への配慮、女性の教育機会の保障、避妊法選択の自由、乳幼児死亡の削減、子どもの育成環境への配慮などが重要。(出典 日本国際保健医療学会、ブリタニカ国際大百科事典)

 

 

 

 

 

 

ウガンダの煮込み料理

 

無からの創造

ダイニング・フォー・ウーマンの新しい支部を立ち上げるのは難しいことではない。「毎月のミーティングでは、その月に特集する国のお料理をいただきます。ウェブサイトを見ると、毎月どのような支援するのか、なぜその国を支援するのか、などを解説したビデオをいつでもご覧になれます」  とはいえ、多忙な現代では、食事会を毎月継続して行うこと自体に困難がある 。「ベイエリアでしかもシリコンバレーですから、誰もが忙しいのです。大多数の人にとって都合が良い日を見つけるのはいつも大変です」 一番の難題は、「皆が集まれる日にちを見つけること」とデビーは言う。

 

参加の妨げとなるもうひとつの課題はお金に関することだった。それが分かったとき、デビーにアイデアが浮かんだ。「もし、レストランで食べていたらこのくらい払っていただろうと思う金額を寄付してもらうのです。そして、様々な地域の料理を持ち寄ってもらい皆で食べます」 まさにそれは、デビーがこの月例イベントについて気に入っていることのひとつだ。世界の様々な地域料理のレシピを知り、実際に調理して、それを新しい仲間たちと一緒に試食できる。お金の理由でうまく行かないとき、デビーには明確な解決策がある。

 

 

 

 

 

 

 

 

インド料理のためのテーブルセッティング

「私の目論見は、まずは皆さんに来ていただくことです。1ドルしか払えないとしても、全く構いません。来ていただきたいということをご理解いただくために、何度か会話をする必要がありました。このプロジェクトの目的のひとつは、今、世界でどんなことが起きているかについて広く知っていただくことです。参加して下さる方々は間違いなくその一翼を担っています。その方々の声こそ大切なのです。そして、その方々がそれぞれのコミュニティに戻って話をする相手の方もまた、社会に違いを作っていくのです」

デビーと話していると、彼女が社会の変革とコミュニティ作りをとても大切に思っていることが明らかに伝わってくる。ランドマークのプログラムに参加する以前の人生について尋ねると彼女はこう語る。「以前は、間違いなく『私に寄越しなさない、やっておくから!』、あるいは、『ちゃんとやりたいのなら、自分でやれば?』という人でした。あらゆることをそんな観点から見ていました。ほとんど一匹狼で、自分には属するところが無いように感じていました」

今の自分を過去と比べて、デビーは次のように語る。「私が自己表現とリーダーシッププログラム(SELP)に惚れ込んだのは、コミュニティという側面があったことでした。人生は、ひとりで頑張って切り抜けようとするよりも、他の人々と分かち合っていくとき、何倍も豊かなものになります。どのプログラムに参加しても、私にとって繰り返し響いてきたのは、実際に人々が何かのために立ち上がったら、そして互いのために立ち上がったら、それによってどんなことが引き起こされ、達成され得るだろうか、ということでした。私にとってはそこが、25年前の私と大きく違うところです」

 

 

 

 

 

 

「ディナー・フォー・ウーマン」の常連たち

 

大きな違いを作り出すために、共に取り組む

デビーは笑っていう。「実際、興味を持ってくれる人がとても多いことに驚きましたよ」  ディナー・フォー・ウーマン支部に対するコミュニティの反響に感激している。

人々がイベントに次々と現れるし、また出席できなくてもオンラインで寄付をするほど、このイベントの可能性に心を寄せてくれている。また、本当に食事会に参加したくても日程が合わない人のためには「その方々のご近所で集まれるようにサポートできる人を紹介させていただきます」

デビーは、集めた寄付金と同額を寄付してくれる企業と協力して動いているが、そのおかげで、彼女の支部は長年にわたって世界中の様々な慈善団体を支える力を持っている。その企業は、デビーが毎月集まった寄付額を申告すると、それと同額を寄付してくれるのだ。結果として、月例夕食会による寄付額は積み上がり大きな額になる。「調べたところ、2016年に開始して以来、私の支部は、約8,000ドルの寄付を集めました」

 

 

 

 

 

 

ディナー・フォー・ウーマン」について

デビーのような人々のおかげで、全米で32,000人以上の人がダイニングルームやキッチンに集い、大きな変化の担い手となっている。小さな寄付が積み上がってディナー・フォー・ウーマンには700万ドル以上の寄付資金が集まっている。これらの努力は、ユニセフや平和部隊* などとのパートナーシップの構築につながっている。

*(訳注)米国連邦政府が運営するボランティア組織。日本の青年海外協力隊の米国版。

お近くのダイニング・フォー・ウーマンの支部を探す方法、または支部の開設方法など、ダイニング・フォー・ウーマンについての追加情報はこちらへ。*

公式ホームページ(英文)

https://togetherwomenrise.org/about-us/

*(訳注)現在は、トゥゲザーウーマンライズ(Together Women Rise)として活動。

「女性支援のための食事会」のデビー・フインの支部に関するFacebookページ(英文)はこちらからご確認下さい。

https://www.facebook.com/groups/1674594549490644/