記事 均衡ある世界の創作

カナダの二人の若者が、環境の持続可能性と、企業としての営利を融合させる、新しいビジネスモデルにチャレンジ。                                                       

ランドマークワールドワイド・ブレークスルーテクノロジーコースの卒業生、ルネ・ゴーティエとアンドリュー・ペインは、クラウドファンディングを通じて五万八千ドルを超える支援金を集め、「シトカ・ソサイエティ・コンサベーション(SSC)」という環境保護活動を開始した。これは、持続可能性と均衡のとれた世界に対する、彼らの人生を賭けたコミットメントの第二段階であった。

もともと「シトカ」は、ゴーティエとペインが2002年、在学中に設立した会社だ。当時はハンドシェイプ(手作り)のサーフボードを販売していた。ゴーティエによれば「まだカナダでサーフィンが全然注目を浴びていない頃」、カナダの自然豊かな西海岸を拠点とするサーフブランドの立ち上げに二人は乗り出したのだ。数年後に大学を卒業すると、5年先までの事業計画を練り、持続可能性を意識した幅広いファッション衣料販売へとビジネスを展開した。

2014年までには従業員数は約50名に、直営店は2店舗になり、製品を取り扱う卸売事業者も北米全域に広がっていた。今後の事業の方向性をじっくり検討することにし、それを受けて従業員たちはリトリート*に出かけた。そこで自分たちにとって本当に大切なことは一体何なのかを話し合ったのだ。
*リトリート 郊外など静かな環境で行う研修・合宿などを指す。
圧倒的多数を占めた回答は「自然」だった。これまでもずっと地球や環境の持続可能性を意識したサステイナブルな商品を扱ってきたのだが、「手つかずの自然の積極保護」というシトカのアイデアが誕生したのは、このリトリートにおいてであった。

次の方向性を検討している最中に、ゴーティエはランドマークワールドワイド・ブレークスルーテクノロジーコースに参加した。そこで見えてきたのは、職場では業務上のインテグリティ(完全性)の重要さを説いていたくせに、自身の私生活にはインテグリティに欠けるところがあった、ということだった。ゴーティエは8年間口もきいていなかった父親と和解した。

また、どこでシトカが、企業ミッションの真髄である「持続可能性とコミュニィティ」よりも利益を優先させるようになっていたかにも気づいたのだった。ゴーティエは、昨年*秋「ランドマークワールドワイド・自己表現とリーダーシップ・プログラム」に参加中に「シトカ・ソサエティ(SSC)」とういアイデアを生み出した。これによって、本当の意味でシトカという会社のミッションを叶える機会がもたらされた。
*訳注 2015年秋
シトカ・ソサエティ(SSC)は、シトカという会社の非営利部門として、地元の様々な団体を応援し、グレートベア・シーの海洋保護区域の拡大計画、先住民支援、投票活動支援などの様々な運動に携わる予定だ。

SSCの基金は、シトカの店舗スタッフを対象とした環境保護に関する会話のトレーニングにも使われる予定だ。店内には、従業員たちが地元の人々と持続可能性についての啓蒙活動や対話を行うための専用スペースが設けられている。

このような営利活動と非営利活動との同時進行は珍しいことかもしれないが、どちらも「均衡のとれた世界」という一つの目的から生まれたものだ。

一方、ペインが「ランドマークワールドワイド・自己表現とリーダーシップ・プログラム」の中で立ち上げたプロジェクトは、生態系に欠かせないニシンを絶滅の危機から救うためのものだった。こちらも、シトカ・ソサエティが支援していくことになっている。

持続可能性を目指す真剣な活動に対する全面的支援を各店舗に求める、というのは多くの不確定要素を含む試みだ。というのも、「利他的な目標のためだけに存在する営利企業」というのは、必ずしも一般的なビジネスモデルではないからだ。

しかし、ゴーティエやペインにとり、それ以上にやりがいのあることはない。
ゴーティエは言う。「人は、『なぜ、そんなことしているの?』とか、『今は時期じゃないのでは?』などと言います。でも、僕らがやらなかったら一体誰がやるのでしょうか。いつだったら良いタイミングなのでしょうか。今始めませんか?」

「誰もが知らなくてはいけません——自然界のシステムは、手をつけずそのまま残す方が、破壊するよりもはるかに多くの価値を生み出すのだ、ということを」とゴーティエは情熱を込めて言う。「そうなったときに、僕らの仕事は終わったと言えるでしょう」

 

 
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